いつからだったろうか。あの男が目ざわりになってきたのは。

気がつくと奴は頻繁にテレビの向こうで心底ムナシクなるような言動を撒き散らしていた。どうやら奴は自分がなかなかの中堅お笑い人間であると自覚しているらしく、隙さえあれば彼が思う所のお笑いパフォーマンスを演じてみせる。これっぽっちも面白くないのだがやつは止めやしない。もっとも激しくムナシクもやるせなくかつまたやりどころの無い憤りを感じさせてくれるのが、奴がダウンタウンの番組に出た時である。

DTDXという番組がある。初期においてこの番組は各回一人のゲストを迎えてその人となりを視聴者のアンケートなどを交えつつ語り、番組最後にはダウンタウンの二人との対談風のトークによって締めくくる物であった。現状は単なるタレント多数出演のゲーム番組になってしまってダウンタウンの二人の絶妙な掛け合いがなかなか見られないので残念極まりない。それでも出演者のボケが上手に決まるとさすがのダウンタウン、見逃せない切り返しをしてみせる。こういった出演者の多い番組になると浜田の人並み外れた仕切りのうまさがあらわになってたまらないものがある。 一般にダウンタウンといえば松本が話題にされることが多いが、浜田の超人的な仕切りのうまさ、ボケの処理、話の流れを読み切る力を見失ってはいけない。もっとも浜田を驚異のうけ上手、仕切りの達人に鍛え上げたのは松本なのかもしれないが。

奴の話であった。 奴は貧乏臭い。眼鏡をしなければどうにもならないほどたちの悪い視線を持っている。チンピラ上がりがそのチンピラ性を上手く他の何かに転化しきれないままおっさんになってしまい、かといって原田良雄的不良中年への成長はそのいかんともしがたいその他大勢的風貌によって阻まれ、貧乏臭いとしか言いようの無い雰囲気を醸し出している。

そんな事は実はどうでもいいのだ。奴を支持する層があるのなら、奴を使えば便利だと思うTV関係者がいるのなら、どうぞ使ってくれ。ただしダウンタウンの番組に出すのだけはやめて欲しい。

例えば上に挙げたDTDXという番組の最後には町の人々ヘのアンケートを元にした競馬をなぞったクイズがある。各解答者はこのゲームにおいて自分の選択した解答の番号が振られた馬(made by 美術さん)に乗るのだが、こともあろうに奴はここでわざわざ番組関係者に言って準備して貰っていた侍かつら(しかもお笑い用のせこい奴)をかぶって手にはこれまた準備していた鞭を持つのだ。その時の物欲しげな顔。俺は即座にチャンネルをかえたくなる。しかしながら仕切りを運命づけられた男浜田はいやいやながらこの大馬鹿者の相手をしなければならないのだ。「何かぶってん」程度の反応ではあるが、いやしくも浜田雅巧、画面に写ってしまったボケ(それがいかに貧相なものであろうとも)に対しては何らかの反応をしなければならない。このどうしようもなくツッコミ甲斐の無いボケであっても。

奴が出演するお笑い番組には必ずこのような果てしなくやるせない場面が出現するのだが、TV関係者諸氏よ、もういいではないか。いいかげんに奴のごとき「強力なキャラクター(ダウンタウンやビート・たけし)が作り出すお笑い空間に小判鮫のように食らいついて、それ自体ではどうしようもないお笑い・の・様なもの」を振り撒くえせ芸人を誰が求めているというのだろう。 もうこのような空しい小物を出演させる事でお笑いの濃度を薄めるのはよしましょう。お願い。奴とはもちろん田代まさしである。



などと書いたのはもう十年近く前。田代が一連の事件を起こす前である。あの目はやってるやつの目だったからなあ。いやいや、なるようになったんだな。
08年 8月 8日 金曜

2011/08/22付記
田代はまたやると見た。シャブか覗きでまた捕まるだろう。手鏡おじさん植草がまたやるより可能性は高い。

手鏡おじさん、たまってるんだろうなあ。援交にでも走っているんじゃなかろうか。田代もまたやるな。賭けてもいい。 2014/02/07付記

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